わたしが交通誘導のバイトを選んだのは『楽そう』・『報酬が高い』が志望動機でした。
しかしこういう選び方の仕事は、実際には楽じゃないし報酬が低いものです。
わたしの交通誘導の経験も、みじめなものでした。
いろいろな職を経験しましたが、交通誘導はキツイ仕事の上位3位には入ります。
研修から実際の業務内容、会社の雰囲気などを書いていきたいと思います。
※バイト情報とか転職サイトのアフィリエイトに誘導する記事ではありません。主に夜勤でやった交通誘導の体験談を書いています。
交通誘導のバイトの辛い所【楽だと思ったのに】
バイト雑誌で高収入というタグがついたページに、交通誘導が出てきました。
中でも工事現場の交通誘導の報酬が高かったので、何の疑いもなく選びました。
夜中の誘導なんて、ただボーッと立っているだけで楽そうに思えました。
面接を受けに行って落とされたら傷つくので、いつも募集している交通誘導なら即採用だろうという考えもありました。
交通誘導は警備会社がやっている
誘導員は警備員として分類されていて、施設警備と同じく警備会社がやっています。
日給は夜中の勤務1回につき、1万円くらいでした。
20時~5時が定時でしたが、道路工事が終わらずに残業になる事もありました。
その場合は割増しで残業代が出ました。
1ヶ月フルで出勤すれば、大卒初任給を超える計算です。
ただしこれは皮算用に過ぎず、実際は雨天中止などで不安定です。
交通誘導のバイト募集は多数あって、その中で通勤しやすい会社を選びました。
書類審査と面接があり、一応は警備会社なので犯罪の有無が問われました。
交通誘導の研修
採用されてから数日間の研修があります。
交通誘導は入れ替わりが激しいので多めに採用していて、同期が10人くらいいましたが、全て男性でした。
警備会社の一室で法律や誘導の仕方のビデオを見せられます。
その時に会社の事務所を通るわけなんですが、経理っぽい人や社員がだらしない雰囲気でした。
警備会社と聞いて指令センターのように厳格な雰囲気を想像していたので、ギャップを感じました。
その会社が交通誘導主体の会社のためか、部活の部室みたいな雰囲気でした。
内心 (あれ? 会社ってこんなモノでいいの?) という感じでした。
研修期間中に印象的だったのが、やたら豪華な仕出し弁当です。
これは研修期間の途中で来なくなる人を防ぐ為のものです。
実際に、なぜか来なくなる人がいました。
研修は別にキツくなくて運転免許の教習レベルですが、それでも授業っぽい雰囲気が嫌なのか飛んでしまう人がチラホラいました。
交通誘導はそういう人でも一定数、採用されてしまうバイトということです。
室内での研修の後は、屋外で交通誘導の実技となります。
交通誘導に使う光る棒を持たされ、(ライトセーバーみたいだな)と喜ぶのが若いバイト誘導員あるあるです。
この実技は雑居ビルの屋上や公園など、会社の周辺で行われます。
当時は日本でリストラという言葉が流行し始めて、同期には自分の父親くらいの人もいました。
かく言うわたしも、遠回しなリストラの経験があるのですが。
中止が多くて、あまりお金にならない
交通誘導のバイトは日給は高めでも、月で考えるとあまりお金になりません。
それに工事現場は雨天で中止の所が多いです。
雨が多い季節だと、収入が15万円を下回る事もありました。
それに交通誘導は誰でもすぐに覚えられる仕事なので、日給は伸びにくいです。
それでいて仕事の内容は公道ということで、チンピラみたいな人間を相手にする大変さがあります。
給料が安い仕事の方が、辛いことが多いです。
この仕事は50歳以上で、それ以上のスキルアップを目指す必要がない人にオススメします。
この仕事で生活の糧を得ている人を嘲笑する意図はありません。
ただ、収入と苦労の度合いが合わない仕事だったと思います。
熟練しても仕事を楽にこなせるわけでもなく、現場の民度に左右されます。
交通誘導の経験で、今でも元ヤンが大嫌いです。
雨天中止はギリギリまで決まらない
雨天で中止の場合は、ギリギリまで中止の連絡がきません。
身支度をして家から出ると結構な雨で、絶対に中止だと思って途中の電話BOX(公衆電話)から何度も確認しました。
当時は携帯電話が普及していなかったので、電車に乗ったら連絡ができませんでした。
現場に行ってから中止だと上番中止という手当が少しだけ出ましたが、割に合うものではなかったです。
当時の自分を振り返ると、安く使えてドタキャンできる都合の良い労働者でした。
社員の質が悪い
わたしがいた警備会社が特に低レベルだったのだと思いますが、社員の印象が悪かったです。
ダメな会社は色々と緩く、社内でイジメがありました。
バイトをまとめる社員は若い者が4~5人で、その中の眼鏡をかけて小さめの人がイジメられていました。
そんな姿を研修中のバイト皆に見せているわけです。
研修中、彼らの上司を見る事はありませんでした。
社員はバイトからの出勤・終了の報告を電話で受けていましたが、その対応もひどいものでした。
交通誘導は簡単に就ける職なので、社員も他で通用しなかったようなレベルが多かったです。
こういう人と一緒の環境に居ても、相乗効果は見込めません。
あまり環境が良くないと思ったら他の仕事に挑戦し、ダメだったらまた戻れば良いだけです。
わたしは無職をいったり来たりしましたが、生活が質素だったので何も問題ありませんでした。
別の会社に移る
イジメを見たことで気持ちが萎えて、研修が終わる前にこの会社を辞めました。
その後、荷物の仕分けのバイトを一つ挟んで、やっぱり交通誘導をやろうと別の会社に入りました。
研修を一から受け直し、路上での実務が始まりました。
社員が巡回で誘導の現場に来る
社員が夜中の現場に、スクーターで来ることがあります。
目的はバイトの仕事ぶりを見たり、休憩のための交代要員としてです。
現場で指導を始めることもあります。例えば誘導する際の立ち位置についてです。
立ち位置はドライバーに視認されやすく、かつ自分の安全を守れる場所が基本です。
ドライバーに光る棒が見えるように、工事現場のライトと誘導棒が被らない位置に立たなければなりません。
ある時、工事現場のライトと誘導棒が重なってしまう所しか立つ場所がなかったことがあります。
スクーターで巡回に来た社員がそれを見て
「ライトと重なってるよ」
と注意してスクーターを止めました。
私の知らない正解パターンがあるのかと思い、休憩に入って交代で入った社員の仕事ぶりを観察しました。
ところが、その社員は私が立ったのと同じ場所で始めました。
結局は他にやりようがない事を、社員はわからなかったのです。
このように誘導業務は経験による差が生まれにくい業務です。
だから早めに給料の上限に達して、以降は継続しても上がりません。
実際の交通誘導業務
研修が終わると、実際に街で誘導業務に従事します。
路上で遭遇する者の中には、誘導員という弱い立場の人に強くあたる、低俗な人間がいます。
多分、一番悔しい思いをしたのは交通誘導のバイトだと思います。
しかし嫌な経験ほど、人生で原動力になります。
わたしはうっぷんを溜めて、未経験職に挑戦する原動力にしました。
⇒ 経歴
無職・フリーターの経歴でも採用される書類や面接方法などを工夫し、その方法を別カテゴリーに書いているので、よければ読んでみてください。
わたしの経験談で、皆さんが嫌なことを回避できれば幸いです。
現場は色々
わたしの警備会社では、現場は当日(夜勤)か前日に電話で指示をされていました。
派遣先は社員の人が毎日決めていて、基準としては交通費があまりかからないよう、自宅に近い場所が選ばれます。
ただ直線距離で近い場所なだけで、電車とバスの乗り継ぎが遠回りになる事もありました。
地下鉄工事みたいな現場は長期間・大量に誘導員が必要で、わたしの近場に現場が無い時にはちょくちょく遠くの地下鉄工事現場に行かされました。
それと仕事を真面目にやらない人は、現場が少ない時には仕事を割り当ててもらえません。
道路工事の現場
道路工事の際、道路の片側を止めるために光る棒を持って交通誘導を行います。
単純な片側交互通行の場合、誘導員二人で単純に交互に一定間隔で車を通すだけです。
間にT字路があったりすると三人に増えたりします。
自分が止めている方の車が増えてくると、通している側の誘導員に棒をチラチラ降って、『そちらを止めて』と催促をします。
合図された方は、合図に気が付いた事を知らせるために棒を高く掲げます。
そして車を止める動作をし、車が止まったら反対側の誘導員に棒で丸を描きます。
この合図を見て、止める催促をした側の誘導員は自分側の車を通します。
基本的には単純な作業の繰り返しです。
片方の誘導員が合図に気が付かない場合、一人で対抗の車が止まっている事を確認して、通す事がありました。
夜中の作業だったので、相手が寝ているんじゃないかと思った事もありました。
夜の現場
夜の方が日給が高かったので、私は進んで夜の現場に入っていました。
20時~5時が定時でしたが、現場が早く終われば帰って良いのが日給制のメリットです。
とはいえ、早朝5時より前に終わっても電車が動いていないので、駅前で制服のまま座って始発を待っていました。
たまにキロ単位で歩いて帰る事がありましたが、安全靴だとかなりキツイです。
多分、健康には悪い
誘導員は砂利や砂や、工事車両の黒い煙などを間近で浴びます。
マスクを長時間つけると湿ってくるし、つけたり外したりしていました。
それにコールタールとか、においがキツいですが吸っても問題ないのでしょうか?
日中に寝る生活も、脳にあまりよくない気がします。
夜勤の残業
夜勤からの残業の場合、作業が朝7時とか8時の通勤時間帯まで伸びます。
そうすると通勤客のバスが遅れたりして、誘導員が文句を言われます。
工事の段取りが悪くて時間が延びるわけですが、言いやすい誘導員に文句がきます。
そのために配置されているようなものです。
「楽そう」で「お金もらえそう」という基準で仕事を選んだ結果、スキルがあまりつかずに罵倒されるバイトをやってしまいました。
交通誘導のバイトが辛すぎたので、就活の面接で屈辱を受ける方がマシだと思い行動できました。
交通誘導の服装
警備員の制服にヘルメットなど、荷物は多いです。
冬服にはジャケットの上に着る防寒着もありますが、綿がスカスカであまり暖かくなかったです。
電車の時には大きめのバッグが必要で、着替えは物陰で行いました。
服装で一番キツいのは安全靴です。
大げさに言うと、オランダの木靴みたいな感じです。
工事車両に踏まれても大丈夫なよう、靴の上部にも鉄板が入っていて、わたしの足の形が悪いのか肉に食い込みました。
それに靴底が硬くて、足の裏まで痛くなってきます。
インソールを入れていましたが、走り回るような現場は辛かったです。
交通誘導なのにドライバーから迷惑がられる
交通誘導員は車を止めるため、ドライバーにとっては障害物のように映ります。
無機質の信号にとめられるのさえ煩わしいと感じるのに、人間に止められるとなおさらです。
誘導員はクラクションを鳴らされたり、罵声を浴びせられる事もあります。
工事の現場監督の中でも、八つ当たりで誘導員への当たりが強い者がいます。
作業員の中には、誘導員をカカシのように思っている人もいるでしょう。
実際、田舎の方では誘導員の代わりに交互通行用の仮説信号が設置されていたりします。
工事会社と警備会社の上の方はつながりがあっても、作業員にとっては誘導員など誰でも一緒です。
底辺の意味を知る
夜中の誘導では、底辺と遭遇する事があります。
私が定義する底辺とは、収入が少ないという事ではありません。
自分の収入や社会的地位に不満を持ち、その不満を他人にぶつけて紛らわせる者の事です。
そういうのに多いのが型落ちの車を改造したり、変な色に塗っているヤカラです。
彼らは少ない収入に反し、人一倍の自己顕示欲が車に出ています。
彼らは誘導員を罵倒する事で、相対的に自分の地位が高いと思いたい人たちです。
当時の私も低収入だったので、一般的な定義では底辺の部類です。
だからこそ偏見などではなく、彼らの事を批判できます。
こういう経験が『彼らより弱い立場には、二度となるまい』という、人生の原動力になりました。
嫌な経験は、糧にしなければもったいないです。
嫌な事ほど教えがつまっているので、よく観察してみてください。
交通誘導が主体の警備会社
施設警備が主体の会社と交通誘導が主体の会社は、雰囲気が異なります。
交通誘導が主体の会社は、建設会社の孫請け事業所といった雰囲気です。
雨天中止という事もあり、交通誘導のバイトは日雇い労働みたいなものです。
わたしがバイトした会社は交通誘導が主体で、常駐の施設警備の現場はありませんでした。
施設警備主体と交通誘導主体の会社は、別物と考えた方が良いです。
施設警備も経験ありますが、こっちは眠れないキツさがありました。
通誘導以外の仕事もある
交通誘導以外では、交通量調査がありました。
夜中に12時間くらい、道端に放置されます。
パイプ椅子に座って、カウンターで自動車の数を数えます。
長時間なので頭を空にしないと苦痛ですが、車が通ったらカチッとカウントしないとなのでボンヤリできません。
この業務はひたすら時間の経過を待つだけの仕事でした。
祭り前夜の夜間警備
祭りの準備がされた公園に、翌朝まで放置されます。
発電機と照明灯の下のテントに、2人でパイプ椅子に座って警備をします。
決まった時間に一人で公園内を巡回します。
いつもの交通誘導よりは楽ですが、動きが少ないと時間が長く感じます。
他にあったのは会社の地元の商店街の依頼で、防犯の冊子配りもありました。
いつもは交通誘導のヘルメットしかしていなかったので、この時はじめて会社に帽子があるのを知りました。
新装開店の行列整理
いつも道路で暑い・寒いに悩まされているので、屋内の行列整理の現場があると聞いて、楽そうに思いました。
自分が行かされてみるとパチンコの新装開店で、客層が極めて悪く誰も言う事を聞きません。
日本の民度の平均から、かなりかけ離れていました。
車を誘導するのとは別のストレスを感じました。
治安がいい日本での警備員のバイトは、危険よりも嫌な人を相手にするのがメインの仕事になっています。
このバイトをしていた頃は、至る所に嫌な人がいると感じていました。
だから人と会わない仕事を探すようになりました。
交通誘導のバイトを辞めて
いくつかの転職を繰り返して、入りやすいITベンチャーに潜り込む事ができました。
そこでわかったのは、自分に合った仕事をしていれば理不尽に怒られる事はない
という事です。
別にITベンチャーでなくても、あなたにも何か一つは合う仕事があります。
適職に就くと仕事の経験が自分に蓄積され、それを上手に組み合わせる事ができます。
30代で年収1,000万円に到達できたのは、勤務時間が過ぎるのを待つだけの仕事に見切りをつけたためです。
仕事の方向性を変えて、更に一つ上にステップアップするには勉強が必要です。
わたしは学校の勉強が得意な方ではなかったですが、社会人になってからの勉強は自分でやる事を決められるので、割と簡単に感じました。
プログラミングは難しいと思われがちですが、わたしがやって効果があった一番簡単な言語などを下記のページにまとめました。
直接プログラミングを使わない仕事でも、論理的な思考力を養うと仕事の質が上がります。
交通誘導のバイトを続けていたとしたら
今になって思えば交通誘導でもノウハウを吸収し、顧客の不満を解消する視点で会社を起ち上げる道もあったと思います。
今、交通誘導をしている方はいつか会社を作る事を目的にすれば、モチベーションが維持できるのではないでしょうか?
交通誘導のバイトを経て転職したわたしが言えるのは、仕事の辛さと収入は比例しないということです。
辛いバイトで8000円を貰っていると、1万円もらうにはもっと辛い思いをしないといけない思いがちですが、適職を見つけると楽に1万円がもらえる事がわかります。
他の人が面倒に感じても、自分はゲーム感覚で出来る仕事はあります。
わたしは職を転々としましたが、最後は面白味を感じる仕事にたどり着けました。
皆さんには経歴に自信がなくても、気にしないで図太く仕事を探される事をオススメします。
交通誘導のバイトの経験があったら、大概の事は楽に感じます。