自分が大企業に勤めた経験があるのかと言われると、微妙なところです。
上場会社の子会社に勤めた事がありますが、そのレベルでも杓子定規な制約が多くてフラストレーションが溜まりました。
大企業はよく、
『福利厚生が整ってる』
と言われますが、わたしが資産を築いたITベンチャー業界も福利厚生には力を入れていた印象があります。
むしろ大企業の方が経費削減でイスがショボかったりしました。
わたしが受け取っていた年収は、30代前半から大企業平均を上回っていました。
その他に自社株の利益や経費の自由度の高さなどがあり、経済的には恵まれていました。
大企業に入らず(入れず)小さい会社を巡ったメリットは、ひとり立ちできるスキルが身についたことです。
就活のエントリーさえ怖がっていたのが、40代でこうなりました。
⇒ 経歴
大企業制約が多いから年収が上がりにくい
上場企業の子会社にいた時、何をするにも申請書が多くて手間がかかりました。
その申請をしても、承認が得られるまで何日もかかります。
例えばわたしがあるソフトが必要になりなった時の事です。
その前に居た会社ではアマゾンか近くのショップですぐに手に入れられましたが、上場企業の子会社では
↓
審査
↓
承認
↓
どこかの部署が購入
↓
手元に来る
こんな流れでした。
明日にでも使いたいのに、1週間たってもわたしの手元に来ませんでした。
時間がかかるということは、それだけ仕事が止まるという事です。
当然、年収が上がるのにも時間がかかります。
大企業より合理的に
色々な会社を経験した後に、共同出資で起業をしました。
他のメンバーも大企業の制約を嫌っていたので、自分たちの会社は色々と合理的にしました。
例えば大企業のように承認作業を増やさないなどです。
承認作業が増えるのは、何かあった時に自分に非がないようにするため、沢山の印鑑で責任を分散させるからです。
だから各自で責任を分担すれば、余計な作業が減らせます。
このあたり、会社を辞めてベンチャーを起ち上げようという人間の集まりだったので、責任問題を恐れる人は居なかったです。
大企業化を避ける
会社が順調に成長すると、外部的な要因で制約が生まれてきました。
従業員が数十人以上になると防災だか火事の責任者が必要になるとか、課せられる事が色々あります。
その中で一番面倒なのが、従業員が100人以上の大企業になった時に受ける制約です。
ニュースとかで
「政府はあらたに企業に義務付ける」
とあったら、それは大企業に対してのものが殆どです。
中小零細だったら免れる事でも、大企業には課せられます。
他にも色々な調査に答えなければだったりするので、わたしたちの会社は従業員が100人以上にならないよう別会社を作りました。
規模が小さい会社の中には、こんな風に大企業化を避けている所もあります。
会社を増やしても手間は増やさない
起業のメンバーの中でわたしが最も内向的だったので、会社内部の事を担当していました。
以前の会社でわたしは自分のためにネット広告用のデータベース等を作っていたので、それをより発展させたものを作りました。
コンビニのPOSシステム(販売から分析まで一括)とかトヨタの自動車工場の改善とか、そういう概念を取り入れたもので、各事業部から経理までを一つにするシステム体系にしました。
これを各会社で使ったので、データは共通化されていて統合するのも容易でした。
データ中心にしたので経理専属の人員は不要で、人件費を削減できました。
制約が少ない会社なので売買やサービス運営もやりやすくて、売上も順調でした。
工場とかが必要な仕事ではなく利益が給料に反映されやすいから、20代で大企業平均より多い給料の人が結構いました。
大企業以上の給料がもらえた理由
わたしは大企業に入れるスペックではなかったので、小さい会社を転々としていました。
小さい会社では人数が少ないので決定権が持ちやすく、他の人の仕事も把握しやすかったです。
経理が触っていたネットバンクの画面は見たことがないですが、その手前の業務までは関わっていました。
それでITベンチャーがどんな風に回っているのか、大体の事がわかりました。
対外的なことから内部のことまで小さい会社で経験して、自分のスキルを上げられたので後に大企業以上の給料がもらえました。
わたしには大企業より合っていた
ベンチャーで多くの収入を得ていましたが、大企業の仕事が劣っているわけではありません。
大企業は基本スペックが高めの人を集めているので、レベルが高めの仕事を足並みそろえて進められます。
恐らくわたしは業務のやり方が理解ができずに、脱落していくと思います。
わたしは他人に教わる事が苦手(理解できない)だったので、自分で枠組みから作るしかありませんでした。
それが業務作成のスキルにつながり、後々まで安定して高収入を得ることにつながりました。
どんなスキルが身に付いた?
起業をすると、未経験のものに直面する日々です。
例えば前述の通り、以前の会社で見せてもらえなかったネットバンクが、起業後にわたしの業務の一つになりました。
初見のシステムを見て、最大限効率のいい使い方を探します。
銀行のシステムなので直接は変更できないですが、わたしの業務とのバイパスになるようなプログラムを作り効率化しました。
カスタマーサポートに「その機能はない」と言われても諦めず、
『どこのデータを取り込んで加工すれば使える』
という風に突破口を探しました。
こういう『可能』を前提にした頭の使い方が、応用範囲の広いスキルとしてつきました。
会社に無駄が少ない
大企業で4千人リストラというニュースを見ると、規模の大きさに驚きます。
大きな組織を円滑に回すためには、バッファの人員が必要です。
常日頃から余剰人員がいる事で、いざという時の人手不足が防げます。
ITベンチャーは個々の成果を重視するので、大企業より個人戦の色合いが濃いです。
余剰人員は少な目で大変な時がありますが、その分が給料になります。
個人戦が性に合っているならベンチャーで、集団の安心感が欲しかったら大企業です。
人間は集団で発達した種なので、大企業を好む人の方が多いはずです。
大企業は人が辞めないから平均給与が上がりにくい
給与はオークションみたいなもので、企業と労働者の掛け合いで決まります。
大企業は給与を上げなくても労働者が辞めないので、額が据え置きのままになりやすいです。
大企業の労働者は会社に対してお金だけでなく、安定を求めています。
それに対してベンチャーは安定がないため、労働者は給与額によって会社を選びます。
いわば活発なオークション会場みたいなもので、優秀な人材は一足飛びに昇給しやすい土台があるので、若くして高給取りになることが可能です。
ただし福利厚生や生涯年収で考えたら、大企業とそんなに変わらないような気もします。
大企業に関わるメリット
もし大企業に入れるのであれば、迷わず入った方がいいです。
わたしは大企業に入れなかったものの、取引を通じて関わる事ができました。
何だかんだ言っても優秀な人が多く、彼らと関わる事で刺激を受けます。
彼らと競う事で自分の仕事の質も上がり、共に認め合う関係になるとそれが人脈になります。
単にパーティーに行って顔を合わせるのは人脈とは言わず、仕事ぶりで信頼感を高めていくのが人脈作りです。
わたしはその縁で共同で起業をしました。
どうしても小さい会社より、大企業の方が優秀な人を見つけやすかったです。
小さい会社で驚いたこと
小さい会社から、新規の営業が来た時の事です。
その恰好がスーツこそ来ていますが、ネイルとメイクが尋常じゃなくて驚きました。
話の流れから前職が『接待を伴う飲食業』の女性とわかりました。
そこの社長が店に通っていて、『そのまま社員にしちゃいました』みたいなライブ感を感じました。
大企業だったら何重もフィルターがあるから、コッソリ入れたとしても、ダイレクトに客前に出さないでしょう。
会社名の意向はある
転職の際に職歴に有名企業があれば、やはりハロー効果として有効です。
ハロー効果とは後光のようにその人が輝いて見える効果の事です。
面接官は自分の判断に自信がないので、何か明確な判断基準があるとすがりつきます。
その時に職歴に有名企業の名があると、
『この会社が採用したのだから、間違いないだろう』
となります。
わたしは6年ほどフリーターだったので、就活の際にはそこをごまかすのに必死でした。
まとめ
・大企業より稼ぐ事は可能
・ベンチャーは制約が少ない
・チャンスがあれば大企業に入る