電車の中吊り広告に、通勤者がブチ切れた理由

仕事関連ニュース

阪急電鉄の中吊り広告に批判が集まり、広告をとりやめるという事がありました。

その内容は

 

『毎月50万円もらって毎日生きがいのない生活を送るか、

30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方がないという生活と、どっちがいいか。』

~研究機関研究者/80代~

これを通勤者に見せました。

広告と言うより煽りです。

 

電車の中吊り広告に、通勤者がブチ切れた理由

まず電車で通勤する人は、電車に乗るだけで軽く切れています。

そこでズレまくった広告を見せられたから、ブチ切れるわけです。

 

まず、

『毎月50万円もらって毎日生きがいのない生活を送るか』

 

50万円もらうまでの道のりって、年功序列でなくなった今は結構しんどいルートを辿ってきたはずです。

労いの一言があってもいいのに、『生きがいのない』ってけなしています。

 

大企業さえ終身雇用は無理で、45歳以上をリストラ対象と言い始めているピリついた中で、この50万円発言はズレています。

 

30万円だけど

『30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方がない』

 

これもズレすぎて笑います。

30万円が最低ラインみたいな感覚ですが、目標にする人も多くいる額です。

 

30万円ももらえず、そういう人ほどキツメの仕事を我慢して働いているので、嫌味では済まない煽りのレベルです。

現実味がある内容は

 

『大好きな陶芸を仕事にして、手取り13万の収入で生活はカツカツだけど幸せです』

 

って言って、近所の人から菜の花とかもらって湯がいて食べてる、ガリガリの若者が写った広告だったら納得感があります。

 

研究機関研究者/80代

80代というのがどういう世代かと言うと、納めた以上の年金を受け取れる逃げ切り世代です。

若い世代は年金では損をするし、先行きも不透明で不安な状態です。

 

弱者なのは、現役世代です。

この空気感の変化は、老人が起こす交通事故の時にも見受けられました。

逃げ切る事ができた強者が、大上段でものを言うというのがズレています。

 

『研究機関研究者』というのもひっかかります。

 

看板だけ掲げて実際はお遊びで時間を潰して、税金対策や世間体で続けているような所もあります。

かつて大きな新聞社で、養老院みたいな部屋を見た事があります。

 

応接セットにお茶出しの美人社員が居て、将棋盤も置かれた遊び部屋です。

過去に功績があったと思われるおじいさんが、顧問かなにかの肩書で通う部屋なのでしょう。

 

おそらく今の現役世代には用意されない部屋です。

そういう世代間の不平等が漂っているのが、今の空気感です。

 

通勤のストレス

 

 

誰に向けた本?

この広告は、色々な人にインタビューした働き本の広告です。

広告に使用されている他の言葉は

 

『私たちの目的は、お金を集めることじゃない。

地球上で、いちばんたくさんのありがとうを集めることだ。』

~外食チェーン経営者40代~

 

というのもあり、経営者40代となっています。

つまり、朝礼のネタを探しているおじいちゃん経営者に向けたような本です。

 

それを不特定多数に向けて、電車で無理に見せるから反感を買いました。

朝礼で聞かされるだけでウンザリするような内容です。

 

どうしてこうなった

広告と本を作った会社は、クリエイター集団とのことです。

コピーライターや広告作成、後はおなじみの”ブランディング”とかいう概念を売り物にしています。

ならどうしてズレた広告を作ってしまったのでしょうか。

 

クリエイティブ会社にとってクライアントは、依頼主である会社です。

一般の人たちは、一次クライアントではありません。

 

依頼主が喜ぶものを追い求めるうちに、一般人の感覚・空気感に疎くなってしまったのではないでしょうか。

 

この広告の言葉は、あがった(すごろくのゴール)人たちが好印象を抱く内容です。

人生を探索しながら進んでいる、多くの通勤者たちに向けた内容ではありません。

 

結構サバイバルが必要でした