学歴も職歴もアピールにならない場合、これからの自分に期待をさせる志望動機を練り上げるのが有効です。
志望動機の構成で成功のパターンが出来ると、採用の確率は飛躍的に上がります。
そのパターンとは、面接を小劇場と捉えて、面接官を惹きつける構成です。
履歴書に書くのが台本で、面接は発表の場です。
いきなり自分語りをしても、面接官を物語に引き込む事はできません。
そこで面接官が共感できる導入部から入るという、志望動機の構成です。
実際に効果のあった方法です。
志望動機が浮かばない場合の対処法【冒頭が肝心】
志望動機の書き方を調べると、有名で誰もが活動を知っている会社用のものしか出てきません。
しかし、世の中マイナーな企業の方が多いです。
活動内容も、その会社独自のものではないのは、会社側も気が付いています。
この辺りに、志望動機が浮かばなかったり嘘くさくなってしまう原因があります。
その会社の特性を知らないから動機は浮かばず、確証がないので嘘くさくなってしまいます。
この両方を解決するのが、導入部から始まるストーリーの構成です。
観客にあたる面接官は、初対面の応募者の自分語りに、まだ共感できません。
観客が主人公に感情移入していない状態では、物語に引き込む事ができません。
映画を観ると、導入部で自然と映画に引き込まれる印象はないでしょうか?
実は志望動機もそれと一緒です。
志望動機の導入部は、業界の話から入る
面接官と応募者の間で、共感が得られやすい内容は何かと考えます。
共通しているのは、その業界の話題です。
初対面の人がお天気の話をするのは、同じ体験を共有しているので距離が縮まるためです。
面接官と応募者で共感性の高い話題は、業界に関する事になります。
それだったら、会社の話でも同じではと思うかも知れませんが、持っている情報量が違い過ぎます。
応募者は会社の雰囲気しか知らないので、会社に所属している面接官が
『実際はそうじゃないのに・・』
と違和感を覚えてしまうかも知れません。
この違和感というのは、冒頭では避けたいです。
映画でも冒頭がしらけると、後に続く全てが白々しくなります。
志望動機の構成は 業界 + 会社 最後に自分語り
志望動機の構成は
中盤: 会社の話題を少し
オチ: 自分語りは添え物
導入部の業界の素晴らしさは、壮大なスケールで崇高に語ります。
社会貢献を絡ませ、その業界がどう貢献しているのかを称えます。
お天気の話と一緒で、いくら褒めちぎっても媚びるイヤらしさが出ません。
これには、すでに業界に属している面接官の気分を良くするという効果もあります。
外国人に
『日本の春は心地よくて、幸せな気分になるから日本に来てよかった』
と言われたら、良い気分になりませんか?
導入部の業界の話に一番多くの尺を取って、面接官の気持ちを引き込みます。
会社の志望動機はボロが出ない程度に
次に会社の志望動機ですが、大企業でない限り深い情報はわかりません。
求人広告の写真を見て、『アットホームな雰囲気で』と書いても、アピールにはなりません。
業界の導入部の尺を大きくとったので、会社の話題は少しでも大丈夫です。
企業理念から一文拾って、
「企業理念の〇〇に共感を覚え、御社に所属する事によって△△業界に携われ…」
これと会社の実績に乗っている事を一つ抜き出して、『〇〇(実績)に興味を覚え』とでも書け加えれば十分です。
最後の自分語りは、失言さえしなければいい
自分語りの部分は、失言さえしなければ大丈夫です。
添え物程度の主張を抑えた内容にします。
導入部で読み手や面接官に良い印象を与えれば、自分語りは大概受け入れられます。
ただ、大きな失言だけ注意します。
会社員を募集しているのに、
『将来的には独立をしたいと思っているので、御社で経験を積めればと』
会社を踏み台にする前提の内容です。
こんな動機評価するは、30半ばになったら社員を追い出す会社くらいです。
他にも、ある社会運動を熱心にやっていて、会社でもやっていきたいと熱く語るなど。
まずは仕事をしないといけません。
「志望動機」だと考えると、夢見がちな事を言ってしまいそうです。
実際は、会社と応募者の気持ちが一致しているかを判断する項目です。
色々な業界の志望動機の例
志望動機を書く練習として、わかりやすく近所の交番に就職する事を想定してみます。
相手が聞きたい事を想定していきます。
交番の警察官は、身体を使った仕事で法の執行者をしています。
法を考える人の方が高給取りで、潜在的に不満を持っているかもしれません。
机上の空論だけで、自ら身体を動かしていないという不満です。
それらを踏まえて、警察官の仕事の方が崇高に思えるよう業界を称えます。
『いくら法を整備したとしても、執行があって始めて法治が可能になります。
警察業務の実際から対応する法が必要になる点を考えると、法整備にも関与している事になります。
法の案から執行までを担えるのは、警察業務しかないと考えて・・・』
次に近所の交番(会社)に入りたい動機です。
『〇〇交番が、マンションという匿名性の高いエリアに位置し・・・』
地図を見ればわかる程度の、無難な内容です。
後の自分語りは失言さえなければ、短くて大丈夫です。
分量としては
会社の動機 少なめ
自分語り 少なめ
で、多くを業界の話に費やします。
自分語りの部分は、生意気に思われる失言がなければ大丈夫です。
デートと同じで自分がいかに熱い気持ちかを訴えるより、一緒に居て良い雰囲気作りの方が効果的です。
IT業界の志望動機を例に作る練習をする
会社の志望動機は省略します。
IT業界と社会貢献を軸に志望動機を考えます。
核になるのは
『ITの技術は、住んでいる場所や時間の不平等を解消し、誰もが等しくチャンスを得られる社会を実現するものと考えます。』
という事です。
『そういった社会貢献をした結果、自分の生活の糧も得られるのは、相互扶助の理想的な生き方と思い』
会社はお金を稼ぐ事を目的にした組織なので、実利についても言及します。
ただの社会貢献だとボランティア団体になってしまいます。
物流業界の志望動機を例に考える
IT業界の志望動機と同じく、業界の役割を褒めちぎります。
物流の役割は、単純に言うとものを運ぶことです。
これを社会の中での存在意義という観点で説明します。
『過去の災害時に物流が滞って全ての事がストップしたのが、強く印象に残りました。
経済の動脈である物流がなければ、どんな発想も机上の空論にすぎない事を痛感し、実体を動かす物流業界を志望いたしました』
こんな風に業界に関する動機なら、配送センターでもトラック運転手でも共通して使えます。
将来性に関する展望も添えると、更にしっかりした志望動機になります。
『ネット社会になっても、例えば通販では物流が無ければ仮想のままで終わってしまいます。
現実が動かなければ意味が無いので、社会インフラの基幹となる物流が最重要だと思っています。』
志望動機を作っていく内に、自分の中で入りたい気持ちを高めていく効果もあります。
そういう態度は、面接にもあらわれます。