田舎暮らし用に家を買って、1年経たずに売りました。
購入時と売却時の差額は、不動産手数料や登記代等を含めると、マイナス300万円ほどになりました。
コスト300万円分の冴えない売買の経過を、このページに書いていきます。
世代的に
『家を建てて一人前』
みたいな風潮で育った人に言えるのは、
『家は持つ必要ないですよ』
という事です。所有する事で発生する仕事がわずらわしいです。
不動産売買って、色々とめんどくさいものですね。
家を買った理由
内向的な性格だと、放っておくと世捨て人みたいいなってしまうので、たまに自分の気質と逆の行動をとるようにしています。
長らく手取りの8割くらいを貯金に回していたので、お金を使うイベントが必要でした。
早期リタイアも考えていたので、田舎暮らしのための家を買おうと思いました。
田舎暮らしの情報を調べると、移住者が隷属されるような怖い話が出てくるので、ゆるそうな地域を選びました。
別荘が多いけど、別荘地の管理料がかからないところを選んで、不動産を探しました。
ネットで物件を探す
まだリタイア前だったので、基本ネットとメールで進めました。
公営と民間の不動産サイトを見て、二軒の家に目星をつけました。
その内の一軒は不動産屋の対応が変だったので、問い合わせだけでやめました。
もう一軒に関して、ネットで周辺の相場を調べて、物件の売値から100万円以上低い金額を提示して、OKなら内見する旨を伝えました。
それでも、相場より少し高いくらいです。
この家は、減額交渉ありきで高めの値段がついている感じでした。
周辺の家の値段
ネットで検索すると、周辺で売り出し中の家の値段が出てきます。
大抵、売買が決まると値段が伏せられてしまいますが、中には物件詳細の文に値下げした金額が出ている事があります。
ネットだけでも、継続的に見ていると相場観がわかってきます。
『おとり物件でもないのに、この家は売れないなぁ』
とか、地域を一つに絞って、継続的に見ていました。
内見
値下げの金額がOKだったので、内見することにしました。
不動産屋は売主ではなく、仲介の立場です。
ノルマがないのか、営業マンは売り込む感じではなかったです。
さほど大きくない家で、別荘として使われているので、売主は不在でした。
しかし売主の人格をあらわす物などから、細かく管理をする人だと伺えたので、家を心配する必要はなかったです。
30分くらいで家を見て、特に問題ないので買う事にしました。
何軒も見て比べる人もいると思いますが、また来るのが面倒だったので、決めてしまいました。
家にあまりこだわりはなくて、汚くなければドコでも良かったです。
独身なので想像ですが、夫婦で家を探す時にダンナさんって、資産価値以外の面で家に興味持てるんですかね?
奥さんの方が熱心な印象があります。
家はもっと値下げできた
たぶん内見した後に、より値段を下げる交渉ができたと思います。
売主にしてみれば、内見で売れるかもという期待があるので、そこに値下げの交渉をすると通りやすい気がします。
しかし、わたしは仕事以外で我を出した事がないし、
『なんか悪いので』
と思って、内見前に提示した金額のまま、買う事にしました。
50万円の値下げが成功しても、100万円分くらい悪い事をした気になると思うので、割にあいません。
手付金は無かった
手付がない代わりに、キャンセルをすると数十万円の違約金がかかります。
この不動産屋は手順を端折っているようで、本契約の時までは特に顔を合わすことはありませんでした。
契約に住民票とか印鑑証明が必要なのが、ちょっと面倒でした。
印鑑の使用は減っていくと思いますが、不動産ではまだまだ使われています。
支払いは預金小切手
ローンで買う場合は、その銀行の一室で売買契約するとか聞きますが、わたしは一括だったので購入する家で契約する事になりました。
代金のやり取りと同時に、売主と買い主で売買契約書に印鑑を押す儀式があります。
休日での売買をお願いすると、預金小切手を持ってくるように言われました。
小切手って、金持ちがペンで数字を書いて使う紙だと思っていましたが、預金小切手というのは違います。
自分のメインバンクに行って、金額を指定して振り出してもらう小切手です。
会社の近くの支店で小切手を振り出した時、窓口で用途を聞かれたので
『不動産売買』
と答えました。
預金小切手は安全
預金小切手を振り出すと、その場で自分の口座からお金が引き落とされ、小切手が現金と同じ意味を持ちます。
ただ、受け取った人がこの小切手を換金する時、銀行で数日の時間がかかります。
だから落としたり、盗まれたりしても銀行に連絡して、現金化されるのを防ぐ事ができます。
わたしは振り出しに口座を持っているメガバンクを使いましたが、窓口のないネットバンクではできないので、まだリアルな銀行の口座も必要ですね。
家の購入にかかった費用
契約書類に細かい数字がありますが、少しだけボヤかします。
手数料 30数万円
移転登記18万円
取得税 10万円弱
設備 3万円
合計 約900万円
他は建物がが未登記だったので、登記の一部を負担して8万円払いました。
田舎の方だと建物が未登記な事が結構あります。
それでも売買できてしまうみたいですが、売る時のことを考えたら登記していた方がベターという、あいまいな感じの制度です。
後から登記する事もできますが建設会社の資料が必要になるので、倒産する事を考えて、購入の際に建物を登記してもらいました。
移転登記が高い
土地は登記だと『筆』という単位が使われます。
一軒分の家の土地でも、何筆かに分割されている場合があります。
わたしが買った家もそれで、分割されている上に近くの私道の持ち分もあります。
司法書士の料金を見ると、一筆ずつにお金がかかっていました。
一括で手続きできそうなものなので、ここもちょっと、ディスカウントできる気がします。
家の売買関係って、一生に数回だけのワチャワチャしたイベントだから、細かい費用に競争の原理が働いていない気がします。
賃貸手数料
わたしは仕事以外では基本的に自分がないので、不動産会社に面倒はかけていません。
不動産会社の仕事は、書類作成くらいです。
別途、車代の気持ちとして1万円を渡しました。
あんまり商売っ気のない営業マンで変な圧が無いので、わたしとしては楽でした。
売主と対面
不動産会社と司法書士の立ち合いの中で、売主と対面して売買契約書にハンコを押し合いました。
仮契約の時に顔を合わせるパターンがあると思いますが、その不動産屋は本契約だけでした。
売主と対面で、小切手や印鑑のやりとりをするわけですが、ちょっと不思議な気持ちでした。
個人同士が売買するというのが新鮮でした。
見ず知らずの人が売買って、他にフリマくらいしかなくないですか?
互いに緊張
契約で家に何か不具合があったら、売主に責任追及できる事になっていました。
だから、売主は買主がクレーマーかどうかを心配します。
売主は年配の夫婦でしたが、存在感が透明なわたしに安心したようでした。
迫力のない顔をしているので、地図アプリがない頃は、初めて行った街なのに道を聞かれたりしていました。
家を持った実感
一国一城の主という感覚は、どういったものかと思っていました。
しかしわたしが感じたのは、売主に浄化槽の説明を受けた時に
『あー、めんどくさいかも』
という気持ちでした。
買った達成感は一瞬で、あとは負担を感じ始めました。
田舎の家の浄化槽
その家は、地域の下水管に流す前に下処理をする、浄化槽を敷地内の地下に設置するようになっていました。
浄化槽の大きさは車一台分といった所でしょうか。
3層構造になっていて、下水を微生物が分解し、カスをこす仕組みです。
微生物が死なないようにするとか、清掃業者と契約するとか、何かめんどうに感じました。
熱帯魚の水槽みたいに、微生物にエアを送り続ける必要があったり、油分や洗剤に気を付けなければなりません。
それに定期的に自宅に清掃の人が来るというのが、早期リタイアの自由を損なう気がしました。
他にも、水道管は水抜きをしないと冬は破裂するとか、水道メーターの周りに凍結防止の発砲スチロールを敷き詰めたりとか、注意事項が多かったです。
家のメンテを覚えた
床下の設備とかが見える、メンテナンス性の高い家だったので、色々と仕組みがわかって面白かったです。
水道回りに関しても、自分で交換とかできそうです。
水道メーターのコックを閉めれば、部品交換は簡単です。
ボイラーの構造とかも理解して、家のメンテは意外と難しくない気がしました。
こういう面倒な勉強って、当事者にならないとやらないものなので、いい機会でした。
人生のイベントを消化した気分
家庭を持って、家を買うという価値観の時代に生まれたので、どちらもやっていないのは、未消化のイベントが残っているように感じていました。
だから、やっつけで家を買うイベントをクリアしたのだと思います。
物件選びから売買手続きをやって、満足してしまいました。
だから買った時点で、もういらないかな・・・
と思い始めてしまっていました。
散財する時期だった
普段は節約していますが、定期的に経験を買うために散財します。
家を買った経験は、不動産取引が自分に向いていない事を教えてくれました。
リタイア後に不動産賃貸でもしようかと思いましたが、物件情報が不動産屋に囲われているので、わたしレベルでは良い物件は買えないと知ることができました。
不動産の所有は、維持の仕事が発生するので、投資は株にしておきます。
売却編に続きます・・・