ここでは実際の職場で体験した男女の違いを、できるだけ公平に書いていきたいと思います。
スポーツは男女別で行いますが、職場では男女が一緒になって仕事をします。
男女の違いはないと言ってしまうと、かえって無理が生じてしまいます。
男女の違いを理解する事で双方が安心して働ける職場になればと思います。
男女の派閥の違いを感じた職場での経験
二十歳そこそこの時、バイトで現像したフィルムを出版社等に配達するバイトをしていました。
いつもは受付に渡しておしまいですが、編集部まで届けてほしいとの依頼を受けて、指定された女性誌の編集部まで行きました。
依頼者の名前は男性ですが、小学校の教室くらいの広さの編集部に女性しか居ませんでした。
入り口で会社名を名乗り
「●さんの現像をお届けに参りましたー」
と言いましたが、何もリアクションがありません。
「●さんの現像をこちらにお届けするように言われましたー」
(あれっ?)
「受け取りをお願いしたいのですがー」
(んんっ?!)
5回くらい言い続けると、手前にいた3人くらいの女性陣が顔を反らして、バツが悪そうな苦笑いを送り合っていました。
わたしはバイトとは言え自社の営業社員の立場が悪くならないよう、客の言いつけ通りに編集部に届けるしかないので、ずっと言い続けました。
ちょっと不器用なやり方でしたが、誰かが受け取ってくれるまで粘りました。
体感で10分くらい続けると、奥のデスクで少しだけ役職がついてそうな女性が、こちらに顔も向けずに手をあげて受け取りの意を示しました。
渡して編集部を去る時に、席を外していた編集部で唯一のおじさんとすれ違い、現像を女性に渡した事を告げました。
典型的なおじさんという印象です。
おじさんと編集部女性にどんな確執があったのか知りませんが、外部のバイトの小僧まで巻き込むのはやり過ぎに思えました。
男の感性ならどんな嫌な奴の物でも、配達に来た人まで無視するというのは考えらません。
この事は、社会に出て男女の違いを強烈に感じた初めての経験になりました。
編集部の女性の行動
編集部では異質なおじさんという異物に対して、女性は一致団結していました。
恐らく、明確におじさんの届け物を無視しようと言う取り決めはしていなかったと思います。
しかし、常日頃から綿密にコミュニケーションをとっているので、女性陣は瞬時に同じ行動をとりました。
考え方を変えると、この連携の力は大した能力です。
女性がランチやトイレに連れ立っていく姿は、十代の頃から見られました。
男子の中にも誰かと一緒でないと不安という者もいますが、その数は女子より遥かに少ないです。
女性は共感の生き物
現代人の思考回路の癖は、原始時代の頃に作られたものが多いです。
男たちが狩りに出かけている間、女たちは車座になって子供や互いを守っていました。
そこでは仲間に異常がないかの確認が必要です。
濃密な関係を維持するには、共感する能力が役に立ちます。
一人が不調を訴えたら、すぐに誰かが
「大丈夫~?」
と聞きます。
それに対して
「大丈夫!」
と答えて、周囲は安心します。
何かをしてほしい訳ではなく、痛いという感情を共有する事で安心感が高まります。
もし男だったら、
(大丈夫で何の処置も必要ないのに、何でムダな事を言うんだ?)
と思ってしまいます。
常に仲間の意思確認をする
女性は常に、相互の安全のため仲間の確認を求めます。
仲間の結束を強めるのに有効なのは、異物の存在です。
派閥に分かれてけん制しあったり、外部の派閥が少ない時は内部にスケープゴートを求めます。
ランチを共にするのは、群れを優先するのか忠誠度を確認する儀式です。
欠席はネガティブなメッセージを含みます。
ランチを断っただけのOLに対して、群れの女たちは
「なんなの あのコ!? 感じ悪~~」
となります。
群れの輪を乱した女は、後日、陰湿な制裁を受けます。
女性にとって統制を乱すものは悪であり、前述の編集部の女性達が外部の配達員ではなく、群れの女性たちの顔色を窺ったのもこのためです。
女性の人間関係
女性は大して仲が良くない人とでも、一緒の行動がとれます。
集団で居る事が生命の危険を避けることなので、気が合わなくてもグループの一員として受け入れています。
だから小さな衝突が事が起こります。
男性であったら、気が合わないならグループにならないし、一度衝突になったら騒乱のレベルです。
こうして考えると、社会の維持には女性の性質が重要な気がします。
編集部の女性たちは外部の配達員を使って、間接的に男性社員への不満をあらわしました。
直接的な攻撃だったらリスクが大きく、編集部のロスも大きいものになったでしょう。
女性と男性の派閥の違いは、質と量の違い
派閥の話になると、
「男だって派閥を作る」
「男の嫉妬の方が怖い」
という話にすり替わる事が多いです。
確かに男も派閥を作りますが、女性ほど派閥争いによるイザコザの発生頻度は感じません。
これは何故でしょうか?
男性の性質
これも原始時代の話になりますが、狩りでは素早い決断を要するため、無駄な共感は排除したコミュニケーションをとります。
狩りの為に上下関係や序列が出来て、命令系統が整備されます。
狩りの成否のために、誰が上に立つのが相応しいか権力闘争が起こります。
この衝突が起こるとかなり激しい事になり、無傷では済まない為、滅多な事では起こりません。
このため職場の派閥争いが多いのは女性で、派閥争いの凄惨さは男性となります。
男性の派閥争いは、どちらか一方しか残らない事を意味します。
犯罪においてもこの性質により、女性が法の範囲内でチョコチョコと悪事をする中、男性は激して法の一線を越えてしまいます。
男女の犯罪率は、男性が圧倒的に多いです。
世の中に男性しか居なかったら、軍隊組織のような社会になるか、定期的に抗争が起こる社会になると思います。
女性の派閥争いは陰湿と言われますが、それは破局的な結果を避けるために行っていると思えば、一概に悪いとは言えません。
噂話に興味がない
男性は自分に直接的な関係もなく、不確実な噂話には興味がありません。
直接的なメリットがない話を切り捨てます。
重大な出来事が起こって興奮できる話に興味を持つので、オチのある話を好みます。
これは男性が高尚だから噂話に興味が無いのではなく、自分のこと以外に興味が薄いのです。
ちょっと前の男性は家庭の事に興味を示さず、奥さんに任せっきりだったのにも通じます。
しかし女性にとって噂話は、問題を未然に見つけるためのヒントになります。
べつにオチのある話でなくても、平常運転である事が確認できる話にも『異常なし』という意味を見出せます。
長時間の噂話にはコミュニケーションの意味もあります。
ハッキリと物を言う男性
日給制のバイトをした時に、100%男性の職場を経験しました。
日給制ということで、早く終わればその時点で帰れるため、一緒に現場に入るメンバーの仕事の速さは重要です。
新しく入った人の中に、ひどく要領が悪い人がいました。
慣れとかではなく、物をどこに置いたかわからなくなるとか、言われた事をすぐに忘れてしまうなどで時間がかかりました。
そんな事が重なったある日、古株のバイトの人が本人に直接的な表現で仕事を辞めるよう言っていました。
直接対峙して、かなり攻撃的なコミュニケーションに感じました。
女性は常時点検確認をし、男性は亀裂が入ってから行動する
女性がつるんで無駄と思える会話で共感しあうのは、常時仲間の確認をしているからです。
決定的な出来事を避けるために、常に点検をしています。
対して男性は点検作業は適当にしていて、問題が発生してから行動をとります。
男女の仲で男は何も悪い事をしていないと思っていても、女性からするとトラブルの予兆が何度も起こっている事があります。
男からすると女は気にしすぎで、女からすると男は察しが悪いと相互に不満を持ちます。
男女は違って当たり前
男性は何もアクシデントが無ければ、何らの問題もないという認識。
アクシデントが起こってから対処します。
女性はアクシデントの予兆の段階で、予防のために活動をする。
アクシデントを未然に防いで、安全性を高めています。
生存戦略が違います。
だから女性の感性ではアクシデントの予兆が何度も起きているのに、男性が気づかない事にイライラします。
女性は男性をガサツだと思い、男性は女性を神経質だと思います。
この違いを互いの歩み寄りでカバーしている内は相互補完の関係で、歩み寄りがなくなれば対立が起こります。
派閥抗争は、終わっていく会社の前兆
会社を起業して右肩上がりで成長していく時期には、派閥争いなどやっている暇はありません。
次々と新しい出来事に遭遇して、何とかクリアをしていく時期なので、仕事に集中をしています。
一定の成長を遂げて水平飛行に移った時に、フロンティアスピリッツに向けていたエネルギーが社内に向けられて、派閥争いが発生します。
これは多分、人間の性なのでどうしようもない事なのだと思います。
少し前に派閥争いでよく聞いていたのが、銀行業界です。
内向きにエネルギーを注いでいた結果、ベンチャーの異業種に次々と新規参入されて、金融業界の中で銀行の地位が下がってしまいました。
派閥争いが活発だったら、その会社に見切りをつけるサインかも知れません。