支援は無いよりあった方がいいんですが、例えば就職氷河期世代を雇った会社には50万円を支給するというものって、氷河期世代はどう思うでしょうか?
自分が50万円と抱き合わせでないと入れてもらえないのかと、益々自信を失う気がしないでしょうか。
お菓子をおごって気を引こうとする、お友達がいないコになった気分です。
就職氷河期世代の経済問題は二次的なもので、第一は社会に存在を否定され続けたことによるトラウマです。
就職氷河期世代の支援は、怒られない職場
普通は客観的・悲観的の両面の見方をして、バランス感のある意思決定ができます。
しかし就職氷河期世代は悲観的なバイアスがかかっているので、常に貧乏くじを選択しようとします。
就活の強烈なストレスにより、尺度が狂ったままなのです。
怒られれば必要以上に気にするのは、就活で否定された時と同じためです。
会社というもの自体に苦手意識があります。
氷河期世代はメンタルが弱いのか?
「大丈夫だ!自信を持て!」
と言われても、何が大丈夫なのか根拠がありません。
こういう勢いだけの人は、無自覚にえぐってきます。
氷河期世代はただ、自分たちが社会に出る時に初めて遭遇した世界を基準としただけです。
努力をし、明らかに他の時代なら採用されたであろう人も不採用になりました。
これにより、社会の難易度は非常に高いのだと認識をしました。
現代社会において就職は、
『食える・食えない』
という生命に関わる重大事です。
人は生命に関わる経験をすると、脳に強烈な印象づけがされます。
以降、脳はその強烈な経験を参考にして無理かどうかを判断するので、氷河期世代は悲観的なのです。
メンタルが弱いのではなく、最初に与えられた難易度が高すぎでした。
就職氷河期世代の支援は、もっと早くされるべきだった
氷河期の価値観が凝り固まって、何をどうしようが変わりようのない人がいます。
不惑の四十というように、長年の生活で形成された人格はガチガチに固まっています。
骨折したのに治療しないで放置していたようなものです。
他人の支援なんてものは、既にとっくに期待しない気持ちになっています。
支援の手が差し伸べられても、それを信用できません。
就職氷河期の頃の世間は、
「大変だねぇ~」
くらいの軽いノリで、むしろ就活生が苦労するのは正しい姿だと思っていた人もいたでしょう。
部活中に水を飲んではいけないとか、他人を苦しめて喜ぶ人間は一定数います。
誰かが淘汰されれば自分が安泰という、人間の生存遺伝子のせいでしょうか?
氷河期世代はスケープゴートにされた側の存在です。
他人のせいにするな?
景気に波があり、それまでも不況で厳しい人もいました。
しかし数年後には景気の波が戻ったりして、自然と復帰もできていました。
氷河期の原因はバブルのせいで、その恩恵は氷河期より前の人たちが受けています。
バブル崩壊で損をした人もいますが、財産を築いた人や資金を海外に流出させた人もいます。
それらは本来、氷河期世代に流れてくるはずのものでした。
雇用も資金も、前世代が大きく消費してしまったのは事実です。
支援って言うけど
氷河期世代が45歳に入ろうというところで、大企業が45歳で定年みたいな意識に変わってきました。
いつも絶妙なタイミングで貧乏くじがまわってきます。
これで悲観的にならないとしたら、そっちの方がどうかしています。
氷河期世代の支援は、リハビリ
新卒時に体験できなかった、普通に就職して普通に働くという環境がリハビリになります。
就職氷河期世代は、『普通』の基準がわからないのです。
リハビリなしで会社に放り込んでも、安心して働けません。
まず社会に対する信頼感の芽生えが必要です。
就職氷河期世代は年下の上司に敏感
自尊心が傷つきやすい就職氷河期世代にとって、年下の上司はデリケートな問題です。
この上、氷河期採用したら50万円キャンペーンで採用されていたら、年下の上司が
(やりにくいな、50万円だけほしいのに…)
と思っているのではないかと勝手に想像してしまいます。
新しい仕事のやり方では、上司・部下という分け方はあまりないので、同僚くらいの感覚で働ける職場が理想です。
甘いと思われても、最初に塩対応だったので、これで丁度バランスがとれます。
骨折した人のリハビリと同じく、氷河期世代の神経を修復するのが支援になります。