リタイアする時、田舎暮らしをしようと思って家まで買いましたが、ギリギリのところで踏みとどまりました。
家の購入後に近所にあいさつ回りまではしましたが、ここで田舎暮らしの幻想が解けました。
この判断は人生の中のナイス判断の一つでした。
著名な心理学者のユングは、晩年にこんな事を言っています。
「人間は、歳を取ったらアイデンティティーを変えてはいけない。」
アイデンティティーというのは環境に身を投じて、長い年月をかけて出来上がった今の自分です。
若い頃には他人との接触の刺激で変化を受けたのが、40代くらいには自我が確立して、微動だにしなくなります。
この状態で田舎暮らしをする事が非常にストレスに感じると思い、田舎暮らしをやめる事にしました。
田舎暮らしをやめた理由
一番は強制的に発生する人間関係を恐れたためです。
人とのコミュニケーションは、本来は良いものです。
人間は社会性のある動物なので、コミュニティに参加する事で安心する生き物です。
しかし会社生活で十分すぎる程、コミュニティ生活を経験しました。
内向的なわたしみたいなタイプは、自分が折れる事でコミュニティ生活を無難に送る習性があり、ムリをしていました。
早期リタイアして渇望していたのは田舎の静かな環境ではなく、人のノイズが少ない環境でした。
田舎暮らしのコミュニティ
都市部のコミュニティは、ほぼ会社だけではないでしょうか?
それが田舎に住むと町内会や消防団など、私生活ごとコミュニティに組み込まれます。
地域そのものが会社のようなコミュニティで、しかも移住者は一番下っ端で参加する事になります。
会社なら出世をする事ができますが、町内会では完全に年功序列です。
付き合う人を選べない
近所に挨拶まわりをした時に、1軒の家で異様な感じを受けました。
経験を重ねると持ち物や住環境で人格との相関関係が見えて、大体どういう人がやっかいなのか分かります。
それにわたしの場合100人のうち1人でも嫌な人がいると、その人の存在が他の99人より大きくなってしまいます。
リタイアの最大のメリットは、嫌な人が居たら近づかない自由です。
地域コミュニティの強制的な人付き合いは、自由というリタイアのメリットを全て打ち消してしまいます。
家を買うまでわからなかった?
家を買って草むしりや風通しにだけ通って、住まない内に売りました。
非常に無駄に見えて、これは田舎暮らしをやめるのに必要な出費でした。
株やFXで、トレードしたつもりのシミュレーションで練習する方法があります。
ですがこれで上手くいっても、お金を使ったトレードでは上手くいかないものです。
田舎暮らしに関しても家を買って田舎に住む事を現実的に感じなくては、わからないことがあります。
本気で住む気持ちで田舎を見るために、家が必要でした。
家を売却する煩わしさを体感して、田舎暮らしへの憧れがスッパリとなくなりました。
家を買わなかったら、一生モヤモヤしていた
人生を左右する選択って、中途半端だと
『やらない後悔』
をいつまでも引きずってしまいます。
メンテに通っていただけですが、朝早めに行くと町内会の人達が地域清掃か何かで集まっていました。
この光景を旅行者ではなく、家を持って根をおろそうという立場で見ると、
『自分もここに加わるのか・・・』
と現実味を感じました。
地域清掃はいい事ですが、この時は人生の強制イベントを無くしたい気持ちが上回っていました。
田舎暮らしは否定しない
わたしは無限の自由を求めたので田舎暮らしを断念しましたが、田舎暮らし自体は否定していません。
恐らくコミュニティの内部に入れば、楽しい事もあるでしょう。
相互扶助で困っていたら助け合うような事もあると思いますが、これがわたしの性質には合いません。
内向的な人って自分は誰かのために出来るけど、逆に誰かにやってもらうと心苦しくないですか?
結果、どこでも重宝されますが本人は疲れてしまいます。
人と距離を置かないと疲弊してしまいます。
歩いている人が少ない
満員電車とか都市部の人混みに疲れていると、人が少ない環境が欲しくなります。
でもこれってリタイア生活に入れば容易に手に入ります。
人口が多い場所に住んでいても、リタイアをすると並行世界に入ったように、人との接触が減ります。
まず電車に乗らなくなるし、人が多い時間帯を避けて行動するようになります。
通勤・通学をする人とは、全く違う世界になります。
異世界に行くのに田舎暮らしは必要なく、ただリタイアするだけで住む世界が変わります。
田舎暮らしを選ぶなら
わたしが家を買った地域は、いわゆる悪しき田舎っぽさはない所です。
地名を上げるとわたしがあいさつ回りした人が傷つきそうなのでここでは伏せますが、いい田舎はあります。
歴史というのは重要で、その地域の昔からの産業が地域性と深くつながっています。
農業・漁業・林業でどういう組織形態でやってきたのか。
これにより地域の繋がり方が決まってきます。
今でも、灌漑用水のトラブルで対立が発生したりするので、紛争の根幹は昔から変わってなさそうです。
新し目の宅地開発エリア
いわゆる新参の人が集まっているので、新旧の住人があいまいなので入って行きやすいです。
不動産屋とかが持っている個人宅の名前まで入っているような地図を見ると、新旧のエリアで名前が分かれているのがわかります。
古いエリアには一族と見られる同じ名前が点在していて、新しいエリアは名前のバリエーションが豊富です。
ネットスーパー圏内なら車いらず
今ってマイナースーパーでも、ネットスーパーを始めています。
現地に行かなくても、ネットスーパーのエリアは調べる事ができます。
老人の買い物難民も、ネットスーパーのエリアなら起こりません。
別に車を持っても、維持費が安いので良いのですが。
わたしが買った家は、自宅に駐車スペースがあるし、近くには数千円の月極駐車場がありました。
どうしても詮索はされる
わたしが挨拶して回った時は、大体は普通に接してもらえました。
それでもやはり、何をしている人だとかは詮索されます。
現地の人達にとっても、よそから来る人は怖いもので、これは仕方がないことです。
それに、この警戒が地域の安全を保つことになります。
要注意人物が居たら、地域全体で監視をするので、普通の人は安全に過ごせます。
わたしは、他人に見られるのを気にする方なので、家に通う時の視線が気になりましたが。
ゆえに不審者が地域に侵入しづらくなっています。