無職になって数年、ようやく作家の肩書を手に入れる事ができました。
ブログでコツコツと書く感覚をおぼえたので、いよいよ電子書籍を出版してみました。
教科書に採用されるかもとか、夢が広がります。
出版にかかるコストや、どれくらいの収入になるかなど、皆さんのリタイア後の参考になるよう書いていきます。
アマゾンの電子書籍はコスト0円で出版可能
ライティング用のソフトが必要かと思っていましたが、グーグルアカウントを持っていれば使える、グーグル・ドキュメントで執筆できました。
アメリカ製なので横書きにしか対応していないので、縦書きの小説を書く方は別のソフトが必要です。
わたしは特に0円にこだわっていたわけではありませんが、便利なのでグーグル・ドキュメントを使いました。
自動で保存してくれる
グーグル・ドキュメントはクラウド上にファイルが保存されるので、PCに何かがあっても安心です。
さらに保存も自動で、1文字打つだけでもファイルが更新されます。
ただ、たまに重たい時があって書くリズムが崩れたので、その場合は別で書いたものをコピペして対処しました。
オフライン状態でも使えるので、公園で書くことも可能です。
EPUB形式で保存できる
アマゾンの電子書籍のファイル形式は、EPUBというものです。
これもグーグル・ドキュメントであれば、ダウンロードして保存する時にEPUBを選択すれば作れます。
ただ、空白行を入れたい時には注意があります。
普通に空白行を入れただけでは、アマゾンにアップロードした時に消えてしまうので、空白にしたい行の頭には全角スペースを入れる必要があります。
他にもグーグル・ドキュメントの機能を使って目次を作ってもEPUBにすると消えてしまうので、目次部分をコピペする必要がありました。
目次をコピーする際に最後の一文字を余分に範囲選択するという、謎の儀式が必要です。
他のソフトでも文字ズレなどがあるみたいなので、グーグル・ドキュメント独自の問題ではないようです。
表紙を作るソフト
表紙は画像ソフトで作ります。
わたしは安いバージョンのフォトショップというソフトを買いましたが、無料のGIMPでも十分です。
デザインに自信がなければ、適当に空の写真でも撮って、そこに文字を書き込めばいいと思います。
表紙はなるべく小さな容量の方がいいと思います。
容量が大きいと、ユーザーがサンプルをダウンロードする時に支障が出たりします。
どうやって本を売るの?
KDPという、アマゾンの出版アカウントを作ります。
通販でアマゾンのアカウントを持っている人なら、簡単に作れます。
特別なのは最初にアメリカの税金を免除してもらうために、自分のマイナンバーを入力する事くらいです。
後は本の売り上げを入金してもらう口座を入力します。
自分で本の紹介を書く
アマゾンの商品紹介の文章も自分で書く必要があります。
このあたりは経験がなくても、本を一冊書く頃にはできるようになっているでしょう。
サンプルは勝手に生成される
電子書籍はユーザーが無料サンプルを読むことができます。
このサンプルは勝手に生成されるので、執筆者がする事はありません。
公開されるのは目次くらいまでかと思っていたら、数十ページ公開されていました。
サンプルの最後が「続きが気になる!」っていう部分ではなかったので、ちょっとモヤモヤします。
後から何度も変更できる
紹介文やEPUBファイルは、後から何度も変更できます。
恐らく機械が誤字のチェックをしていると思いますが、漢字の間違いとかは感知されませんでした。
ですが人の目のチェックが入って1ヶ月待たされるとかより、これくらいの精度で早い対応の方がありがたいです。
もし人間相手だったら、何度も再アップロードするのは気が引けます。
変更した分が反映されるのは、数時間~30時間くらいかかります。
ペンネームで出版できる
アマゾンのアカウントが本名であっても、本の出版の際にペンネームが設定できます。
わたしはオンラインサロンとかをやっていないし、自分の知名度を上げるメリットは何もないのでペンネームにしました。
特にリタイアして資産で生活している人は、素性を明かすことで犯罪者に目を付けられる危険があります。
本の内容も個人が特定されないよう注意しました。
不特定多数に対して発信する危険性については、ブログの段階で色々と経験しました。
電子書籍の売り上げはいくらになる?
本を書くのが想像より遥かに大変だったので、月に300万円くらいの収入でないと見合わない気がしました。
しかし最初の本を出した時の印税は、作家を本業にしていたら生活ができないレベルでした。
女性にフラれて本も売れなかったニーチェは、晩年になってからようやく売れ始めたそうで、厳しい世界です。
わたしも没後評価されるような、傑作を書いてしまったのかもしれません。
冗談はさておき、好きな内容を書くなら本で稼がなくても大丈夫にしておく準備が必要です。
なぜ労力に見合わなかったのか?
一番はお金を稼ぐモチベーションが低かったからです。
わたしは生活が質素なので、配当金で生活できています。
本で儲けるとしたら一冊を上・中・下巻に分けるとか、写真週刊誌みたいに過激な内容にしなければならないと思います。
わたしは本で人生が向上して、自由な時間を手に入れられた恩返しの意味もあって書いたので、採算性を考えませんでした。
一冊目を書いている時に、やたら大変だなと思って文字数カウントしたら、既に一般的な本の倍近い文字数でした。
初めてという事で、肩に力が入り過ぎたみたいです。
本の印税は選べる
アマゾンだけで販売する選択をすると、売値の70%が印税としてもらえます。
わたしは販売に労力を割きたくなかったので、アマゾンだけにしました。
他でも売るならアマゾンからの印税は35%になります。
アマゾンでは電子書籍を紙の本にするサービスもあります。
注文が入ったら一冊ずつ簡易的なペーパーバックに製本して、購入者に届けてくれます。
売れた分しかコストがかからないので、旧来の自費出版のようなリスクはありません。
ですが印刷コストが千円近くかかり、売値が高くなるのでわたしは使っていません。
読み放題会員からの収入
アマゾンの読み放題会員に本が読まれると、1ページ単位で印税が発生します。
この単価は変動制で、時期によって微妙に異なります。
全ページ読まれても本が一冊売れた時より少ない金額ですが、たまに本の売り上げを読み放題分が上回る時があります。
時間がたつと、関連づけられる
アマゾンで買い物をしている時に、買おうとしている商品と関連した商品が出てこないでしょうか?
本を出版して数週間たった時、わたしの本も他の本に関連して表示されるようになりました。
時間が経つと徐々に、露出が増えていきます。
まだ少ないながらレビューもつくようになりましたが、今のところひどいことは書かれていません。
もしかしたら、誰でも見られるブログの方がひどい事を言われやすいかもしれません。
自営業の届けはしない
自営業の届け出をすると、税務申告のために帳簿を作成しないといけないのでやりません。
本の売り上げは雑収入にして、総合課税で納税します。
自営業でなくても雑収入にかかった経費は申告出来ます。
自営と無職では基礎控除(課税されない収入)が数十万円違うだけなので、無職を選びました。
何かで逮捕されたら、『職業:自称作家』になってしまうことだけが残念です。
電子書籍の出版で大変だったこと
表紙のデザインが大変でした。
最初は中世ヨーロッパ風の本みたいに、重厚な表紙にしようかと思っていました。
ですがアマゾンで本が陳列された時に重要なのは、表紙の文字が読めるかです。
表紙は小さなサムネイルになるので、かなり大きな文字にしなければなりません。
その上で安っぽくならないよう、デザインを考えました。
わたしの脳に画像処理エンジンが搭載されていないのか、とても疲れました。
推敲と誤字探し
本を書き終わったら、すぐに推敲(文章を練る)の作業に入るため、頭から読み直しました。
それが終わったら誤字を探すため、また頭から読み直します。
すると誤字以外にも読みにくい部分が目につき、また推敲で書き直しです。
一冊の本をこんなに何度も読み返すのは初めてで、かなりキツかったです。
誤字探しについては有料で請け負ってくれる人がいるみたいですが、独力でやり遂げたかったわたしは使いませんでした。
その分、本が出版できた時の達成感は独り占めできました。
リタイア生活は目標を失いやすいので、本の執筆で自分にタスクを課すことはオススメです。
追記:低評価をつけられて憤慨する
1冊目の本は興味がある人には有用ですが、そこから外れた人から反感を買いやすい内容です。
そういう人の目を避けてコッソリ売れていた時は、高評価の★が続きました。
本がぼちぼちと知られるようになって、初めて低評価がつけられました。
通り魔にでもあったような気分です。
買い物をする時は便利だと思っていた★の評価ですが、自分が審査されると凶器に感じます。
人間関係と同じく感性が合わない人はいるので、皆さんが本を出した時、ショックを受けませんように。
新しい本が売れました
文字だけの本だと辛かったので、イラストエッセイを描いてみました。
途中で絵を描くのも辛くなりましたが、気楽に読んでいただける本になったおかげで、印税だけで生活できるくらいの収入になりました。