HSPだと周囲に敏感で、外出するとすごく疲れるので、放っておくと自分の世界が狭くなりがちでした。
その頃に無理やり外出する動機付けになってくれたのが、バイクの存在でした。
意外かも知れませんが、乗り物の中でバイクはもっとも気疲れがしにくいです。
都心を避ければ、一番自由に移動が楽しめます。
20代でバイクに乗って幅を広げていたおかげで、40代で早期リタイアが出来て、好きなだけインドアな生活が送れるようになりました。
若い頃の様々な経験が、以降の人生の糧になったのを実感しています。
HSPにとって地獄だった合宿免許
バイクの免許は、排気量によってわかれています。
趣味でバイクに乗るなら、最初は中型免許(400ccまで)で十分です。
この辺りが最もバイクのバリエーションが豊富で、選びやすいです。
フリーターで時間の都合がつきやすかったので、バイクの免許は合宿にしました。
場所は北関東で、オフシーズンだったので少しだけ安くなっていました。
宿舎はカプセルホテル型の施設で、それも一番安いタイプのカプセルホテルの施設っぽかったです。
騒がしくて眠れない
自分がまだHSPというのを知らなかったので、他の人が普通に寝泊まりできる合宿免許くらい、できるだろうと思っていました。
社会についていこうと、ムリをしていました。
眠る場所は二段式のカプセルで、オールプラスチック製のため、他の人のゴトゴト音が気になります。
一部屋に何十ものカプセルがあるので、常に夜中に人が出入りする気配を感じ、耳栓をしていても眠れませんでした。
一週間くらいの合宿でしたが、夜に眠れたのは3時間くらいでした。
その代わり、授業や食事の合間に昼寝をしていました。
チーマーが騒ぎを起こす
学生が来ないようなオフシーズンだったので、合宿免許に来ていたのは、怪しい人間ばかりでした。
ヤンキーっぽいのや、北関東の暴走族っぽいの、それと渋谷のチーマーみたいなのもいました。
チーマーというのは、パーティー券の押し売りをしたり、ギャングまではいかない質の悪いサークルという感じです。
半グレの前身みたいな。
ある日、宿舎内で個人の音楽プレーヤーとかが、片っ端から盗まれる事件がありました。
わたしは本しか持って行っていなかったので、被害は何もありません。
ヤンキーぽい連中が怒って、各自の持ち物を調べる事になり、
『何でこんな目に・・・』
と思いつつも、流されるままに見せました。
しかし、チーマーみたいな集団が怒ってヤンキーっぽいのを威嚇して、うやむやになりました。
チーマーっぽい連中は何も盗まれておらず、犯人がわかりやすい事件でした。
警察に通報するとか、そういう動きは一切なかったです。
合宿の教訓
程度が低い人達と時間を過ごすと、うんざりさせられます。
盗難騒ぎもゲンナリしましたが、程度が低い人たちは騒音やゴミなど、ちょっとずつ周囲に負担をかける人が多いです。
安アパートとかに住んだら、毎日こんな風なんだろうと思います。
お金がない怖さって、民度が低い環境に巻き込まれる事なんですよね。
ひもじさだけなら耐えられます。
そんな人生訓が得られたのが、合宿免許でした。
バイク免許取得の難しいところ
バイクの実技試験は、車と違ってコースの順路を暗記する必要があります。
試験に使われるのは、2つの順路の内のどちらか一つです。
普段の教習でも、HSPで教官らの視線を意識すると焦ってしまいます。
バイクの操作も不慣れだし、コースを覚えるのも苦手だったので、どちらか一つの順路に絞る事にしました。
試験で使われる順路の規則性を調べ、山を張って、そのコースだけを覚えました。
教習の時間が終わっても、コースを歩いて覚えました。
HSPは頭が真っ白になりやすいので、こういう下準備が必要です。
これは後の仕事でも有効で、年収が上がる要因になりました。
試験も予想通りの順路が使われ、一発で合格しました。
時には大胆な方法を
HSPの人はルールを守る気持ちが、人一倍強いです。
ですが、他人がやらないような事を発想するのも、HSPの強みです。
合宿免許では、一度試験に落ちると、再試験まで中一日を開けなければいけないルールがありました。
その分だけ余計に時間とお金がかかります。
絶対に落ちたくない状況です。
他の人の試験を見ていると、細長い板を既定の時間をかけてゆっくりすすむ、一本橋の落下で不合格の人が最も多かったです。
落ちれば不合格で、規定の時間より短いと減点です。
ここでわたしは、一本橋に乗るや、試験官が時間を測定できないくらいの速さで一気に突っ切りました。
試験の結果は減点だけで済み、合格となってその日に帰る事ができました。
試験官の態度が悪い
試験官は警察OBが多く、非常に高圧的でした。
大人になってから私生活で、一方的に横柄な態度をとられるのは初めてでした。
HSPは一度凹んだら、なかなか元に戻りません。
北関東全体に否定的なイメージを抱いてしまい、以降の人生で関わる事がありませんでした。
嫌な経験に意味があるとしたら、その後の人生で活かす事です。
一回の経験で決めつけるのは賛否両論あると思いますが、人生では他にやる事はいっぱいあるので、一度で切り捨てるのもアリだと思います。
趣味のバイク選び
免許を取ったら、次はバイク選びです。
一部の人に、バイクは排気量が大きいほど偉いという文化がありました。
最近では排気量マウントと呼ばれていて、youtubeで大型バイクに乗った初老の人が、250ccの人に
『君もいつかは・・・』
的なことを言っていてドン引きしました。
多分、会社の年功序列で
係長→課長→部長
という感覚の人が、排気量マウントをするのだと思います。
わたしは軽いバイクで自由に動かす方が、一体感があって好きです。
400ccのアメリカン
初めてのバイクは400ccのアメリカンでした。
これは完全にフォルムで選びました。
ただ思ったほど楽な姿勢ではなく、重たいし小回りが利かないし、運転がしにくかったです。
それに何よりもキツかったのは、欠陥のある中古バイクだった事です。
電気系統がおかしいのか、乗ってエンジンを回しているのにエンジンが切れて、バッテリーも上がるのでエンジンがかけられなくなります。
最初に起こった時は、単にバッテリーが古いと思って、近くのバイク屋に預けて交換してもらいました。
ですがしばらくすると、新しいバッテリーでも上がってしまったので、バイクの欠陥だとわかりました。
買ったのは上野のバイク店街にあるバイク屋で、雑誌を見て行った店です。
当時はネット未発達で評判がわかりませんでしたが、上野のバイク店街はバイク乗りに評判が悪かったそうです。
口コミの時代は、知り合いが少ないHSPには不利な時代でした。
250CCのオフロードバイク
250CCのオフロードバイクが、最も乗りやすかったです。
山の中を走ったりはしないですが、普通の道路でも充分に楽しいです。
タイヤをオンロード用に履き替えれば、高速道路などでもスムーズに走れます。
ただ車高が高いので足つきが悪いです。
最近はこのあたりを改善した、モタードという種類のバイクがあります。
400ccのスクーター
ビッグスクーターに一時期乗っていましたが、バイクとしては楽しめませんでした。
ギアがないので、ハンドルをひねっているだけで進みます。
趣味で乗る場合、ギアを操作してクラッチをつなげる動作が、バイクとの一体感を演出しています。
ビッグスクーターは小さい車みたいな感じで、他のバイクとはちょっと違いました。
400ccのネイキッド
ホンダのCB400という、一番メジャーだったネイキッドバイクを買いました。
ネイキッドとは、カウル(風防)とかがついていないバイクの事です。
CB400にはVTECという機構がついていて、エンジンの回転数が6500回転くらいになると吸気が変わります。
吸気が変わると、ニトロのボタンを押したみたいに、『グンッ』という感じで加速します。
このマリオカート感が楽しかったです。
バイクはHSPに向いている?
HSPは刺激に敏感ですが、バイクに関しては拒否感がなかったです。
わたしは寝ている時の物音とか、他人の感情などに敏感ですが、バイクではあまりストレスを感じませんでした。
街中では人の飛び出しを過剰に警戒して疲れますが、郊外へ行くことが多かったので気楽でした。
危険はある
わたしが今まで
『あっ、終わったかも』
と思ったのは、いずれもバイクに乗っていて事故になりそうな時です。
一度目はバイクに乗るバイトをしていた時、ウィンカーなしで車線変更してきたタクシーとぶつかりそうになった時です。
タクシーは車線変更しながらウィンカーのスイッチをひっかけるので、点灯までタイムラグがあります。
バイクに乗っている時は、路上の客までよく見ていなければ危険です。
こういうのがあるので、街中は疲れます。
ガケから落ちそうになる
ウネウネした山道の下りで、コーナーが思ったより急で、曲がり切れなくなりそうでした。
人間って危険な時に、時間がゆっくりと動くような感覚になります。
走馬灯を見るとかも、脳の機能の一部です。
わたしがガケに落ちそうになった時、時間がゆっくりになって考える時間ができました。
急ブレーキでタイヤをロックさせないよう、エンジンブレーキを使いながら減速して、バイクをガードレールに対して平行に近づけます。
それでも飛び出しそうなので、ガードレールを足で蹴るようにしました。
足で止めきれずに、ヒザをぶつけてしまいましたが、何とか止まる事ができました。
バイクは明らかに車より危険ですが、乗っていて楽しいのは断然バイクです。
バイクに乗って良かった
HSPでも社会人生活を乗り切れたのは、バイクに乗ってアドレナリンを出す経験をしたからかなと思います。
バイクでは最高で180kmの速度を経験しましたが、車体がガタガタと揺れて怖い反面、すごくアドレナリンが分泌されました。
自分がどういう事に過敏なのかも、分かった気がします。
わたしの場合、自分の命に関する事は、あまり過敏ではなかったです。
やはり人との関りが、一番負担に感じます。
なので社会人のキャリアの中で、接客業を避けて上手くいきました。
無理やり行動半径を広げて良かった
バイクは自分の性格とは相反する、アグレッシブな乗り物でした。
ツーリングなんかは楽しい瞬間より、暑い・寒い・雨が降るとか、そんなのの方が大きかったです。
けど、そういう経験を経て、日常生活に有難みを感じることができます。
それにバイクからだと、街を違った角度から見ることが出来ます。
HSPの気づきって、他の人が見ない視点から見られる事だと思います。
これが、会社で他の人がデッドロックにぶつかる中で、HSPだけがブレークスルーできるのだと思います。
そういう意味で、バイクは非常に性に合う乗り物でした。
スキューバよりオススメ
没入感でいえば、スキューバダイビングも良かったです。
ですが海に潜るまでの前後が大変で、予約や講習とか義務が多かったです。
海に入ると自由ですが、海中でも感じる潮の流れが少し怖いです。
予約を入れる段階で、何だか義務のようになってしまいます。
HSPって時間を守ろうとする気持ちが強いので、予約はちょっと負担です。
バイクの場合は朝起きて空具合を見て、行くか行かないかを決められます。