住み込みのバイトをやった事がない人は、大学生が夏休みでやるような爽やかなイメージを持っているかも知れません。
実際は住むところに困っている人や、人生の帳尻が合わなくなってきた人を多く見ました。
一度経験しておくと、様々な人の人生の縮図を見る事ができるので、自分の人生設計を描くのに役立ちます。
楽な仕事ではなかったので、クズみたいな人は居てもすぐに淘汰されるので、あまり害のある人はいませんでした。
リゾートホテルの住み込みバイトに来ていた人のタイプ
リゾートホテルは人数が多く、仕事も多岐にわたるため年齢層の幅も広かったです。
ホテルだけでなく併設のスキー場やアミューズメントもあります。
全体では若者6対中年以降4くらいの比率でした。
離婚した元主婦
40代・50代くらいで離婚した元主婦の人が居ました。
家庭環境のことを聞けない人もいたので不明ですが、仲居さんにも離婚者が多くいたと思います。
離婚をして実家に帰るのがバツが悪いのか、それとも兄弟が住んでいるのか。
はたまた帰る実家自体がないのかわかりませんが、住み込みに来ていました。
やっぱりちょっと陰がある人が多かったです。
専業主婦だった人が40代・50代になって独り立ちするには、住み込みしかなかったのでしょう。
何かの楽しみがあるようには見えず、生きるために日々を過ごすという感じでした。
元反社会的勢力のおじさん
宿泊者の前に出るような部署ではないですが、元反社会的勢力のおじさんがいました。
多分、60代くらいで小指が欠損していました。
そのくらいの年齢になると反社の仕事ができなくなるので、生活に貧窮して住み込みの仕事をするようです。
シノギの時の掛け合いで慣れているからか、口は達者で面白いのですが、フカシ(ホラ)も多くて何が本当の事なのかわかりません。
仕事ぶりは真面目でしたが酔うと好き勝手やっていた頃の地が出るのか、仲居さんにちょっかいを出していました。
ただただ性格が悪いおじさん
この人も60代だと思いますが、ものすごく嫌味な性格で誰も寄りつきませんでした。
恐らく若い頃からそういう性格で、どこの職場でも居場所がなくて住み込みに流れ着いたと思います。
会話がつまらないとかではなく、気分が悪くなるレベルです。
外見にも影響するのか、全体的にヌルッとして妖怪みたいな雰囲気でした。
元反社会的勢力のおじさんさえ、倦厭していました。
その人は1~2ヵ月くらいでフッと居なくなりました。
こういう人が次に行き着くのは、路上しかないように思います。
家族と一緒に転職した人
リゾートホテルがある所なので、生活は不便です。
しかし、そこに家族ごと引っ越してきて家族用の社員寮に住む社員が居ました。
しっかりとした人が多いように感じました。
どこかでちゃんとホテルの経験があるようなので、スカウトされたのかも知れません。
日系人や外国人
彼らは真面目に働いていました。
ただ外国人の男性はお酒を飲むと、彼ら同士で派手なケンカをしておっかなかったです。
『えっ、そんなケンカするの?』
というくらい激しいケンカでケガをしていました。
それでも次の日には普通に仕事をしていました。
長期間働く人が多かったので、ホテルにとっても重要な労働者だったと思います。
離婚しないまでも、冷却期間中の主婦
離婚はしていないけど、旦那さんと折り合いが悪くて別居のように住み込みに来ていた主婦がいました。
すぐにヒステリーを起こすのと、顔が常に緊張状態で強張っているのが印象的でした。
爆弾岩のように、ピリピリした雰囲気を出していました。
更年期とかなのでしょうか。
家族と一緒に居られないようでした。
住み込みをする若い人
リゾートホテルなので、若い人も働きにきていました。
一番気楽なのは、スノーボード目的で来ていた学生です。
併設のスキー場が安く使えるので、遊び倒していました。
ただ、スノーボードでケガをして働けなくなる学生が続出して、社員にかなり怒られていました。
それでも住まいと食事は提供されていました。
学生はどこでもこんな感じだと思いますが、若い人の中にも事情を抱えた人もいます。
借金から逃げてきたホスト
そのまんまホストという感じで、バイトに来てすぐ他の従業員を口説いて回っていました。
女性依存の病気のように見えました。
なんでも大阪でホストをしていて借金が膨らんだとの事で、逃げたのかお金を作るためなのか、リゾートホテルに来ていました。
楽しそうにやっていましたが、彼の30代の人生が全く見えませんでした。
家庭環境が複雑
他には家に母親が色々な男を連れ込むとかで、一緒に居られないから出てきた男もいました。
普通に明るい感じでしたが、バイト中に仲居さんに辛く当たる事があるのが印象的でした。
そういう所に複雑な家庭環境の影響が出ているような気がします。
男女ともに、複雑な家庭環境で住む場所がないという人は一定数いました。
そういった男女同士は仲良くなりやすくて、一緒に辞めて転職をしていきました。
崩壊した家庭モデルしか体験していないので、上手く関係を維持できるのかが気がかりです。
若くして離婚
二十代そこそこで既に離婚をした若い女性もいました。
急な離婚だったのか住まいの確保もできず、住み込みのバイトで急場をしのいでいました。
こうして見ると、住み込みはシェルターの機能を果たしているように思います。
何となく田舎暮らしがしたい若者
スキーをするわけでもなく、住むところがないわけでもなく、進路が定まっていないフリーターが田舎暮らしでもしようとして来ます。
ふもとの繁華街まで車で小一時間くらいかかります。
繁華街と言っても店が数えるほどしかなく、後はイオンモールくらいしかありません。
職場もリゾートホテル周辺には、小さな土産物屋とか、小屋レベルの店しかありません。
リアルな田舎の状況を肌で感じて、田舎暮らしの幻想は吹き飛びます。
パートで通う仲居さん
住み込み以外に、地元から通うパートの人もいます。
一時期ペンションブームがあり、脱サラして一家で移住する人がいました。
しかしすぐにブームは去って、リゾートホテルで働くことを余儀なくされていました。
ペンションのように出来る事が限られた施設では、飽きられるのも早いです。
住み込みは仕事と生活が一体化
住み込みの労働時間はかなり長時間で、休日も少な目でした。
寮住まいだったので、仕事とプライベートの垣根が低いです。
言葉は悪いですが、北欧の刑務所くらいの拘束感がありました。
とはいえ経験としては有益で、このバイトをやり切ったら自信がつきます。
都会の仕事で上手くいかない事があっても、路上で生活する前に住み込みという選択肢があるという事を知っていると、安心感があります。
それに私生活に何の楽しみもないと思っている人がいたら、住み込みのバイトをお勧めします。
住む場所の自由があるというだけで、実は非常に恵まれた事だと思えるようになります。
住み込みの経験